好き避け夫婦の秘めごと 7年越しの初夜
(士門視点)
「疲れたでしょう」
「……そうですね。普段は殆ど人前に出ないので、久しぶりに緊張しました」
「お嬢様、すぐにバスタブの準備を致しますね」
「……」
夕刻の挙式、その後の披露宴を終え、新居(高級レジデンス)に到着したまではいいのだが。
式場から運転手をしてくれた、彼女の家の執事(二谷さん)が俺もよりも先に新居へと入っていく。
いや、問題はそこじゃない。
何故、玄関の暗証番号を知っているのか?ということだ。
ハイヒールを脱ぎ、俺へと視線を寄こす彼女。
『どうかしましたか?』的な表情を浮かべている。
挙式の準備も新居の準備も、仕事が多忙ということもあったし、彼女の父親が『新居は私からの気持ちだ』と仰るから、口出し無用だと言われた気がして、全てお任せしてしまった。
だから、当然のように俺よりも間取りを熟知していてもおかしくないか。
篁家からのスタッフが派遣されて来て、俺の荷物も既に配置済みだと報告を受けている。
「士門様」
「……はい」
「こちらが、士門様の寝室となります。書斎は通路を挟んでこちらのお部屋です」
「……はい」
執事が次々と新居内を案内してくれる。
やはり、篁家から指示を受けたのだろう。
キッチン、リビング、ゲストルームが二つ……。
キッチン横にはパントリーもあるし、リビングの南にはサンルームのような広いテラスもある。
「こちらがお嬢様の寝室、その隣りがお嬢様の書斎兼仕事場となります」
「……分かりました」
寝室が別。
世の中には夫婦別室の夫婦も沢山いるだろうけど、そんな話、一言も聞いてない。
辛うじて、お互いの寝室が隣りではあるけれど。
「では、夜も遅いことですし。……お嬢様」
「……えぇ」
――――は?
「疲れたでしょう」
「……そうですね。普段は殆ど人前に出ないので、久しぶりに緊張しました」
「お嬢様、すぐにバスタブの準備を致しますね」
「……」
夕刻の挙式、その後の披露宴を終え、新居(高級レジデンス)に到着したまではいいのだが。
式場から運転手をしてくれた、彼女の家の執事(二谷さん)が俺もよりも先に新居へと入っていく。
いや、問題はそこじゃない。
何故、玄関の暗証番号を知っているのか?ということだ。
ハイヒールを脱ぎ、俺へと視線を寄こす彼女。
『どうかしましたか?』的な表情を浮かべている。
挙式の準備も新居の準備も、仕事が多忙ということもあったし、彼女の父親が『新居は私からの気持ちだ』と仰るから、口出し無用だと言われた気がして、全てお任せしてしまった。
だから、当然のように俺よりも間取りを熟知していてもおかしくないか。
篁家からのスタッフが派遣されて来て、俺の荷物も既に配置済みだと報告を受けている。
「士門様」
「……はい」
「こちらが、士門様の寝室となります。書斎は通路を挟んでこちらのお部屋です」
「……はい」
執事が次々と新居内を案内してくれる。
やはり、篁家から指示を受けたのだろう。
キッチン、リビング、ゲストルームが二つ……。
キッチン横にはパントリーもあるし、リビングの南にはサンルームのような広いテラスもある。
「こちらがお嬢様の寝室、その隣りがお嬢様の書斎兼仕事場となります」
「……分かりました」
寝室が別。
世の中には夫婦別室の夫婦も沢山いるだろうけど、そんな話、一言も聞いてない。
辛うじて、お互いの寝室が隣りではあるけれど。
「では、夜も遅いことですし。……お嬢様」
「……えぇ」
――――は?