好き避け夫婦の秘めごと 7年越しの初夜

祝賀会当日。
18時開宴という事になっているが、社長の妻としてゲストと同じ時間というわけにはいかない。

行きつけのサロンでヘアメイクやネイルをして貰い、二谷が用意してくれたドレスに着替える。
普段、結婚指輪とピアスくらいしかアクセサリーをつけない胡桃だが、今日ばかりはドレスに合わせたエレガントなネックレスもつけた。
最後に、彼からプレゼントされた香水を軽く振り、戦闘準備完了。

「お嬢様、とってもお綺麗です」

二谷に言われてもねぇ。
肝心の夫から言われなければ、何の意味もない。



開宴2時間前に、祝賀会が開かれる会場へと足を踏み入れる。
士門さんは他のスタッフ達と既に着ていて、祝賀会で披露する予定の新ゲームの準備に追われているようだ。

「二谷、料理の準備が進んでるか、チェックしておきましょ」
「はい」

士門さんから頼まれて、ゲストにお出しする料理を胡桃が手配した。
幼い頃からテーブルマナーとして色んな料理を食して来た胡桃にとって、これだけは自信がある。

立食形式のパーティーということもあって、各テーブルにバリエーション豊かな和洋折衷メニューを提供予定。
服装が汚れず、食べやすさを重視してフィンガーフードを中心に。

しかも、会場の両サイドにオープンキッチンを設けるスタイルで、シェフの際立った腕を披露する場でもありながら、料理提供のスピードも維持できる。
料理が品切れになることほど、ゲストを落胆させるものはない。

オープンキッチンの一角にはドリンク専用のカウンターも設置していて、バーテンダーを複数人配置予定だ。
< 93 / 148 >

この作品をシェア

pagetop