好き避け夫婦の秘めごと 7年越しの初夜
「おい、見たか?」
「見たみた。社長の奥さん、超エロいドレス着てるよな」
「今までは可愛い系だったのに、何で急に変わった?」
「社長の趣味だろ。超ロリ好きだけど、さすがにあんな色気のある奥さんだったら、四六時中エロい格好させて、そばに置きたくなるよな」
「くっそ、マジうらやまぁぁ~っ」
「ホント、羨ましいよな。あんなエロかわいい奥さん、毎日抱けんだもんな」
式典の会場とは別に、機材等を置くための控室。
その控室に予備のヘッドフォンを取りに行った士門は、部屋の中で部下が話している会話を耳にしてしまった。
趣味が高じて起業したのだから、俺の性癖がバレていても仕方ないけれど。
さすがに、妻を下心全開で見られていたとは……。
確かに最近、かなり色気が出てきたように思う。
前は『可愛い』の方が勝っていたのに、最近は部屋着もだいぶ露出度の高めなものが多い。
個人的には大歓迎だけれど。
俺以外の男の脳内で要らぬ想像を掻き立てられるのには腹が立つ。
見ていいのも、脱がしていいのも、俺だけだろ。
例えそれが脳内であろうと。
*
「お前、顔怖ぇーよ」
「……煩い、黙ってろ」
「何かあったのか?ってか、予備のヘッドフォン取りに行ったんじゃなかったのかよ」
「あっ…。悪い、あとで取りに行っといて」
「んだよ、それ」
「その般若みたいな顔ゲストの前でしたら、大事な息子を二度と使い物にならないように捻り潰すわよ?」
「っ……」
美人な顔立ちと反比例して、友香はかなりアグレッシブな性格。
春親に『そうならないように気を付けろよ』と、肩を叩かれた。
俺だって、したくてしてんじゃねーっての。