好き避け夫婦の秘めごと 7年越しの初夜
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「私がそんなにも疎ましいですか?」
「……え?」
「いつもそうやって…」

女性社員には笑顔を見せるのに、私にはいつも怪訝そうに眉根を寄せる。

6歳も離れてるから、子供に見えるのかもしれないけれど。
私はこのまま……。

『友香にやらせる』って、何?
ALKの創立記念なのは分かってるし、私は部外者みたいなものだけど。
それでも、『料理』に関して任せたのなら、最後までやらせて欲しいのに。

私は無能だということ?
それとも、彼女の方が適任ということ?

今日だって、あなたのために着飾って『社長の妻』を必死に頑張っているのに。
『綺麗だ』『よく似合っている』だなんて言葉を期待した方が間違ってたのかもしれない。

胸がチクチクと痛みを帯びて、涙腺が緩んでくる。
下を向いたら今にも涙が零れてしまいそう。

「お嬢様?」
「……士門さん、少し疲れたみたい。休んで来ます」
「ん、……上に部屋を取ってあるから」
「はい」

二谷に連れられ会場を後にした。

「大丈夫ですか?」
「大丈夫に見える?」
「……」

士門さんの前では涙を零せなかったけれど、会場を後にして一気に涙が溢れ出した。

「ルームキーを貰って来ますので、ここでお待ち下さいませ」

そっと差し出されたハンカチ。
どこで誰が見ているか分からないから、早く拭うようにという二谷の気遣い。

分かってるわよ。
幾ら着飾ったところで、あの人には勝てないし、目障りだということも。

それでも、あなたに好かれたいって思ってしまうのよ。
どんなに疎まれていると分かっていても。
あの日、『永遠』を誓った仲なのだから。
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