好き避け夫婦の秘めごと 7年越しの初夜
(士門視点)

祝賀会のメインで最新ゲームアプリの紹介を兼ねるデモンストレーション。
会場内に複数箇所設置したモニターに、会場の雛壇でプレイする士門と春親の手元とプレイ画面が映し出された。

プロのカメラマンによる演出。
幾つものアングルから撮られたそのプレイは、ALKのLive配信され、世界中のゲーマーの注目が集まった。

プロゲーマーをも唸らせる指技。
予測不能なストーリー性。
息を呑むほどの映像美。
充実したコンテンツなど。

次々と繰り出される超絶技巧に、会場中から発狂に近い感嘆が溢れた。

「……とまぁ、こんな感じで、毎日ログインしてミニゲームをクリアしたり、特定の時間に出現するクエストをこなしながら――…ー」

春親のLive配信実況は大好評で幕を閉じた。

ゲームがリリースされるのは2週間後だが、Live配信直後から新着トピックスとしてネットニュースで話題になったり、ALKの自社サイトに問い合わせが殺到している。

「春親、悪い。ちょっと抜けていいか?」
「奥さんとこ?」
「……ん」
「しょうがねぁな~。友香に見つかったら八つ裂きにされるから、ほどほどにしろよ?」
「……分かってるって」

春親は会場内のゲストから質問攻めに遭っていて、友香は自社サイトへの問い合わせ対応に追われている。


1時間ほど前に休憩しにいったはずの妻が戻らず、士門は心配で気が狂いそうだった。

都内でも四つ星ホテルとして有名なこのホテルの上階に、胡桃のために手配した部屋。
以前、同じような自社主催のパーティーで急に体調を崩した胡桃。
その時に予め部屋を取っておくことで妻を労わることができると学習したのだ。

だから、今回も。
セミスイートの部屋を手配済みで、士門はその部屋へと向かった。
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