龍帝陛下の身代わり花嫁
…種族の違い②
「お二人は、一体おいくつくらいなのでしょうか……?」
思い切って口にした質問に、二人はキョトンとした表情を浮かべた後、思わずといったふうに笑い声をあげた。
「ふふ、私共に興味をもっていただけるなんて嬉しいですわ」
「久方ぶりに年齢を尋ねられましたわ!」
クスクスと笑い合った二人は、長いスカートの裾を捌くように広げると、美しく首を傾げる。
「私の年齢は五百歳を超えたくらいですわ。もう長いこと狐族の長をしております」
クランさんの年齢に目を瞠っていれば、後方から咳ばらいが耳に届く。
「私はもうすぐ三百歳といったところですわ。ちなみに狸族でして、子供から孫まで数えれば両手両足では足りないほどですわ」
「あら、子供の数まで申告が必要でして?」
「ほほほ、狸族としてのアピールですの」
突然張り合い始めた二人の会話に目を瞬きつつも、彼女達の年齢に驚きを隠せない。
二人は人に例えるならば二十歳前後の花盛りのような容姿をしていた。
「この国の方は、皆お二人のように若々しく美しいのですか?」
「まあ!」
「ハルカ様ったら、煽て上手ですのね」
嬉しそうな声を上げた二人は、同時に楽しげな声を上げる。
「私達はそれぞれ変化の能力を持った先祖返りですから、他の亜人より寿命が長いのですわ! 先祖返りの寿命は大体千年と言われておりますの」
「先祖返り……?」
「獣と人とを行き来できる者のことです。最近は、人に変化できない亜人も増えておりますから少々珍しくもありますが。ああ、でも人間の美醜の感覚はわかりませんが、確かに敢えて醜い人型に変化する者はいないかもしれませんわね」
にこやかに教えてくれる彼女達の言葉に、頷き返すことしかできない。
「ハルカ様は、おいくつなのですか?」
「私は、今年二十四歳になります」
「まあ! うちの末子よりも年下ですのね!」
「元より可愛らしい御方ですのに、更に守って差し上げたくなりましたわ」
そう口にした二人は、拭き終わった私の身体に衣装を着つけていく。
二人の会話を聞くに、人の十倍以上もの寿命を持つ彼等にとって、私なんて生まれたばかりの赤子のような存在なのだろう。
二百歳くらいだという龍帝陛下が若造と呼ばれてしまうことにも、なんとなく納得してしまう。
そして、何千年も生きるという陛下を、たった一週間で口説き落とすという難題を思い出して、思わずため息が漏れてしまった。
「あら、ハルカ様どうされました?」
「気がかりなことがありましたら、どうぞこのココにご相談くださいませ!」
心配そうにこちらを覗き込む二人に、どこまで話していいかもわからず、曖昧な笑みで応えてしまう。
「あ、ええと……今更ながら、私に龍帝陛下の花嫁が務まるのかと不安だなと思いまして」
思い切って口にした質問に、二人はキョトンとした表情を浮かべた後、思わずといったふうに笑い声をあげた。
「ふふ、私共に興味をもっていただけるなんて嬉しいですわ」
「久方ぶりに年齢を尋ねられましたわ!」
クスクスと笑い合った二人は、長いスカートの裾を捌くように広げると、美しく首を傾げる。
「私の年齢は五百歳を超えたくらいですわ。もう長いこと狐族の長をしております」
クランさんの年齢に目を瞠っていれば、後方から咳ばらいが耳に届く。
「私はもうすぐ三百歳といったところですわ。ちなみに狸族でして、子供から孫まで数えれば両手両足では足りないほどですわ」
「あら、子供の数まで申告が必要でして?」
「ほほほ、狸族としてのアピールですの」
突然張り合い始めた二人の会話に目を瞬きつつも、彼女達の年齢に驚きを隠せない。
二人は人に例えるならば二十歳前後の花盛りのような容姿をしていた。
「この国の方は、皆お二人のように若々しく美しいのですか?」
「まあ!」
「ハルカ様ったら、煽て上手ですのね」
嬉しそうな声を上げた二人は、同時に楽しげな声を上げる。
「私達はそれぞれ変化の能力を持った先祖返りですから、他の亜人より寿命が長いのですわ! 先祖返りの寿命は大体千年と言われておりますの」
「先祖返り……?」
「獣と人とを行き来できる者のことです。最近は、人に変化できない亜人も増えておりますから少々珍しくもありますが。ああ、でも人間の美醜の感覚はわかりませんが、確かに敢えて醜い人型に変化する者はいないかもしれませんわね」
にこやかに教えてくれる彼女達の言葉に、頷き返すことしかできない。
「ハルカ様は、おいくつなのですか?」
「私は、今年二十四歳になります」
「まあ! うちの末子よりも年下ですのね!」
「元より可愛らしい御方ですのに、更に守って差し上げたくなりましたわ」
そう口にした二人は、拭き終わった私の身体に衣装を着つけていく。
二人の会話を聞くに、人の十倍以上もの寿命を持つ彼等にとって、私なんて生まれたばかりの赤子のような存在なのだろう。
二百歳くらいだという龍帝陛下が若造と呼ばれてしまうことにも、なんとなく納得してしまう。
そして、何千年も生きるという陛下を、たった一週間で口説き落とすという難題を思い出して、思わずため息が漏れてしまった。
「あら、ハルカ様どうされました?」
「気がかりなことがありましたら、どうぞこのココにご相談くださいませ!」
心配そうにこちらを覗き込む二人に、どこまで話していいかもわからず、曖昧な笑みで応えてしまう。
「あ、ええと……今更ながら、私に龍帝陛下の花嫁が務まるのかと不安だなと思いまして」