私の白王子と黒王子
ところが突然、類の表情が一変する。


「聖奈様。歩きますよ」


「えっ、あ、ちょっと類!」


類は私の肩を抱いて早歩きを始めた。


急に怖い顔をしてどうしたんだろう。


私は歩幅の大きい類に合わせるのに必死で半分走っていた。


「こっちです」


何度か道を曲がり、私たちはどんどん裏路地に入っていく。


そして、とうとう行き止まりになってしまった。


「行き止まりッ!」


しかし振り向くとスーツの大男が4人、来た道を塞いでいる。


私はようやくここで、類はこの人たちを巻こうとしていたんだと気づいた。
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