私の白王子と黒王子
「寄ってたかって、一体なんの用かな?」


類は私を自分の後ろに隠して手を握ってくれる。


「俺らはそこの女に用があんだよ。お前には用ねェから、死にたくなけりゃすっこんでろ。番犬よぉ!」


殺し屋とか懸賞金とか、そんなの映画やドラマの中だけの話だと思ってた。


だからボディーガードを付けるなんて、父様はちょっと大袈裟だとか思っていた自分を殴りたい。


この現実世界に、こういう危ない人たちは本当にいるんだ……。


どうしよう、どうしよう、どうしよう!


類は鍛えているし、こんな連中に負けるわけない。


でもどんなに強くても相手は4人もいるのに、対するこちらは類だけ。


しかも足手まといの私がいるわけで、こちらが不利なことは明白だった。


だからしっかりしなきゃと思えば思うほど、この現実離れした状況に足がすくんでしまい、私は腰が抜けたように地面に座り込んでしまった。


「可哀想に。お嬢様は怖がって震えてるじゃねェの」
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