私の白王子と黒王子
そう思った瞬間、私の後頭部に硬い鉄のような何かが当てられた。


そしてカチャリという音がする。


類たちにばかり気を取られて、後ろに人がいるなんて全く気づかなかった。


相手は4人だけじゃなかったんだ。


「聖奈様ッ!!」


類が私の方に手を伸ばし、こちらに走って来ようとする。


「動くなよ番犬。じゃなきゃ大事なお嬢様の脳みそが飛び散るぞ」


そう、私は今銃口を向けられているらしい。


「それでいい。そのまま大人しくしておけよ」


「オマエ……なんで……」


類は私の後ろにいる男をまっすぐ見つめて険しい顔をしている。


どうしたの? 後ろの男に何かあるの?


私は怖くて振り向けない。


その時、さっきまで床に倒れていた男が立ち上がり、類の背後から殴りかかろうとした。


「類っ! 後ろっっ!!」


私が叫んだ瞬間、後ろの男にハンカチで鼻と口を覆われる。


「余計なことすんじゃねぇよ。このまましばらく眠っとけ」


薄れゆく意識の中で〝聖奈〟と、私の名前を何度も叫び続ける類の声が聞こえた気がした。


やったぁ……朝のお願い、聞いてくれたんだね——。
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