私の白王子と黒王子
「そんな顔しなくても、アイツは生きてるぜ。今頃身代金用意しながらオマエのこと必死に探してんだろうよ」


「良かった……」


「引き渡しは2日後、5億だ。まぁ、財閥にとっては大した金じゃないから問題なく用意できンだろ。良かったな、いい家に生まれて」


男がベッドに腰掛けると、ギシッと音を立ててマットレスが沈み込む。


私がベッドボードの方に下がると、男も体を近づけてくる。


拳1つ分ほどの至近距離。


「心配すんな。お前は大事な人質。殺したりしねぇから」


ヘタに動けば唇が触れてしまいそうで。


あまりの近さに、私は顔を逸らした。


「もしかして、キスされるとでも思った? お嬢様は随分とウブなんだな。おもしれぇ」


次の瞬間、私はベッドに押し倒されていた。
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