私の白王子と黒王子
私は同じものを昔、見たことがある。
「そのネックレス……」
「これですか? これは母の唯一の形見なんです」
ずっと探していたパズルの最後のピースが揃ったような、そんな感覚だった。
「あの時の王子様って……類がだったんだ!」
「あの時?」
「類はね、覚えてないかもしれないけど。類がうちに来る前に、私たち会ったことあるの」
「え?」
あれは私がまだ子供の頃のこと。
父様や綾子さんとはぐれて、1人ぼっちの恐怖で動けなくなっていた時。
声をかけてくれたお兄ちゃんがいた。
夕日のせいで顔はよく見えなかったけど、優しそうな笑顔と首から下がる十字架のネックレスだけはハッキリ覚えている。
「類と同じ、そのネックレスをしてたの。お母様の形見ってことは、持ってるのは類だけってことだよね?」
「……そう、ですね……」
「またいつか会えたらいいなって思ってたけど、まさかこんな近くにいたなんて! 今更だけど、あの時は助けてくれてありがとう! 今も昔も、私は類に助けてもらってばかりだね」
「……いえ。私は聖奈様のボディーガードですから」
思えば、あの時から私は類に恋してたのかもしれないな——。
「そのネックレス……」
「これですか? これは母の唯一の形見なんです」
ずっと探していたパズルの最後のピースが揃ったような、そんな感覚だった。
「あの時の王子様って……類がだったんだ!」
「あの時?」
「類はね、覚えてないかもしれないけど。類がうちに来る前に、私たち会ったことあるの」
「え?」
あれは私がまだ子供の頃のこと。
父様や綾子さんとはぐれて、1人ぼっちの恐怖で動けなくなっていた時。
声をかけてくれたお兄ちゃんがいた。
夕日のせいで顔はよく見えなかったけど、優しそうな笑顔と首から下がる十字架のネックレスだけはハッキリ覚えている。
「類と同じ、そのネックレスをしてたの。お母様の形見ってことは、持ってるのは類だけってことだよね?」
「……そう、ですね……」
「またいつか会えたらいいなって思ってたけど、まさかこんな近くにいたなんて! 今更だけど、あの時は助けてくれてありがとう! 今も昔も、私は類に助けてもらってばかりだね」
「……いえ。私は聖奈様のボディーガードですから」
思えば、あの時から私は類に恋してたのかもしれないな——。