私の白王子と黒王子
「でもさ。それって類さんじゃなくて、双子の弟の方だったって可能性もあるんじゃない?」


「蓮さんだったってこと……?」


「そんなに類さんに似てるなら、もしかしたらーと思って。あくまで可能性の話だけどね」


「だって類は……」


そんなはずはない、あれは類だったとハッキリ言いたいのに、言えない。


類が「あれは自分だった」と言ったわけじゃない。


私は急に怖くなった。


あの時の王子様が類じゃないということを考えるのが……。


「ごっ、ごめんごめん! 水差すようなこと言って! でも類さんにも話したなら間違いないよ。聖奈の王子様は類さんだよ。ね?」


唯は申し訳なさそうに顔の前で手を合わせた。


違うの、唯。


唯に怒ってるとかじゃない。


私は、急に不安になって、自信もって「類だった」って言えない自分が許せないだけ。


「う、うん。ありがとう」


私、うまく笑えてるかな——?
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