私の白王子と黒王子
学校が終わって、私はまた類の病室に来ていた。


電話の男との待ち合わせまではまだ時間がある。


多分類に会えるのはこれが最後になる。


——コンコン


「はい!」


「ヤッホ〜!」


「聖奈様! また来てくださったんですね」


「うん……今日はね、ちょっとどうしても来たくて」


ベッド脇の椅子に座る私を類は不思議そうに見る。


ダメだ、余計なことを言うと鋭い類のことだから、何かあったのかとすぐ気づかれてしまう。


いつも通り、いつも通り……。


「どうかしましたか? 学校で何かあったとか……?」


ほら、やっぱり。


昔から類にはなんでもお見通し。


でも今回ばかりは絶対に気づかれるわけにはいかない。
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