私の白王子と黒王子
「……ったく。類だって思っとけば幸せだったろうに。バカなやつ」


「じゃあ……!」


「ポケットの中」


ポケットの中を見ろということだと思い、蓮さんのポケットの中に手を入れると、中から十字架のネックレスが出てきた。


これは類のものと同じ。


蓮さんもお母様の形見を持っていたんだ。


「やっぱり……」


私がずっと王子様と呼んでいたあの人は、蓮さんだったんだ。


私は今どんな顔をしているんだろう。


言葉もうまく出てこなくて。


「口塞ぐって言ったからな」


見つめ合いながら、蓮さんの顔が徐々に近づいてくる。


多分このままキスされるんだって、私にも分かった。


早く、早く顔を逸らさないと!


そう思うのに、催眠術にかけられたみたいに蓮さんから目が離せなくて体が動かない。


唇が重なるまであと3センチ……。


2センチ……。


1センチ……!
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