私の白王子と黒王子
「あのぉー」


声がして、私は背筋が凍りついた。


そこにはさっきまで父様と話していたはずの蓮さんが立っていた。


私たちを見て何やらニヤニヤしている。


私も類も、見られていた恥ずかしさでソワソワしていた。


「お取り込み中のとこ悪いけど、俺もお嬢様に挨拶しとこうかなと」


挨拶……ということは!


「じゃあ! うちに来てくれるんですね!」


蓮さんは頷きながら私たちの方へくる。


「改めて、水無瀬蓮だ。親父さんに頼んでくれてありがとな。まぁ、その……助かった」


「私こそ、助けてくれて、守ってくれてありがとう。今回も……それからあの時も」


「礼なら体で返してもらおうかな」


「へ?」


それは反応する隙がないくらい、一瞬の出来事だった。


唇に触れた柔らかい感触。


それがキスなんだと私の脳が理解した時にはもう、目の前で満足そうに笑っている蓮さんの顔があった。
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