私の白王子と黒王子
「類……!」


「おはようございます、聖奈様。いくらお腹が空いてるからって、階段を降りる時は慌てず、ですよ」


確かに私は食べることが好きだけど、今回はそうじゃないのに。


類のこと考えてたんだもん!


なんて、素直に言えたらいいんだけど。


残念ながら私にそんな勇気はない。


「別にッ! そんなんじゃないもん!」


「ハハッ。ほら、旦那様がお待ちですよ」


「え? 類は一緒に食べないの?」


「私は先にいただいたので。これから佐々木さんと洗車してきます。またあとで」


「う、うん……」


類は軽やかに階段を降りて行ってしまった。
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