私の白王子と黒王子
「今日はいい天気ですね。お昼は外で召し上がるのもいいですね」


「だーかーら! その敬語はやめてってば!」


今でこそ類は私のボディーガードをしてくれているけど、最初からそうだったわけじゃない。


昔はこんな堅苦しいやりとりじゃなくて、もっと兄妹みたいに接してくれていた。


お兄ちゃんができたみたいで、一人っ子の私はそれが嬉しかったのに……。


「ダメです」


「類のケチ! 頑固!」


「どうとでも言ってください」


「ムゥーー」


全く折れようとしない類に、私は頬を膨らませて窓の外を向いた。


「そんな顔しないでください。私は聖奈様のボディーガードで、聖奈様は私の大切な主人(あるじ)であり、お嬢様です。その線引きはきちんとしないと」


「じゃあ2人きりの時はいいでしょ? 敬語はなし! 私のことも聖奈って呼んで」


「できません」


「ふぅ〜ん。さっきは私のこと主人だって言ってたのに。主人の言うことが聞けないってことかしら?」


「聖奈様……!」


優秀でいつも冷静沈着な類が、私の屁理屈に手を焼いている。


こんな楽しいことはなくて、私はニヤけるのを止められなかった。
< 9 / 60 >

この作品をシェア

pagetop