俺が貴女を護ります~エリート海上自衛官の溺愛~
 気が付くとあっという間に水族館に到着した。
 館内に入ると、アーチ状の水槽は魚に囲まれて幻想的で思わず立ち止まって写真を撮り、イルカショーやペンギンの給餌タイムなどは動物たちの可愛らしい仕草に癒された。

 地域の水族館であるため、幼い頃に祖母に連れられて一度だけ来館したことがあった記憶はあるが、あの時何を見てどう思ったのかなどの細かな記憶はない。
 大人になってから水族館に来ることもなかったため新鮮な気持ちで目を輝かせて水族館の世界に没入していた。

「楽しい?」
「うん、こんな体験初めてだから」
「よかった」

 航平がしばらく結芽の顔をじっと見つめるため、見つめ返すと、妙な沈黙が生まれる。

「なによ」
「可愛いなって」
「ちょっ……!」

 航平に瞳には結芽しか映っていない。
 一通り館内を堪能すると、すっかり夕方になっていた。ふたりは予約をしていた和風料理店へ向かうために駐車場へと向かう。
 館内から出ると、海沿いに位置する水族館から見た景色に圧倒される。
 夕焼け空を海が映し出していて、結芽はその絵画のような景色に釘づけになる。

「綺麗……」
「海にはいろんな顔がある。俺は海が好きだ」

 航平は結芽の隣でそう呟く。
 結芽は心が浄化されたような清々しい気分になり、日常のストレスが和らいだ気がした。
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