俺が貴女を護ります~エリート海上自衛官の溺愛~
「失礼いたします。釜めし天ぷら御前、釜めし刺身御前でございます。お待たせいたしました」
航平の重みのある恋情にどう返事すればよいか戸惑っていたところに、ちょうどよく料理が運ばれてきて、話を切り替えることができた。
「ごゆっくりどうぞ」
「すごくいい匂いね。美味しそう~」
「ああ、そうだな」
釜の蓋を取ると、それぞれの釜に蟹や帆立がどんと構えており食欲をそそる香ばしさが鼻腔を通り抜ける。
しゃもじで混ぜると舞茸とおこげが見え、湯気が立ち、視覚からも美味しさを訴えた。
「いただきまーす」
「いただきます」
◆◆◆
料理が提供され、食べ始めると、先程の話題に戻ることはなく、また結芽主体の雑談に戻った。
そして1時間ほどで食事を終えて会計を済ませ、家まで送ってもらった。
「今日はありがとうね。楽しかった!」
「こちらこそありがとう。今度またデートに行こう。仕事でしばらく会えないのと連絡取れないことが続くけど、その後に必ず」
「うん」
「じゃあ、また」
「またね」
航平の車が遠くに離れていくのを、手を振りながら見送る。
とてもいいデートであったとデートを思い返し、にっこりとしながら、はあ、と溜め息をついて家に向かって歩く。家に帰れば、またあの女からの暴言を受けなければならない現実へと引き戻される。
それはまるで、おとぎ話のシンデレラのように──