俺が貴女を護ります~エリート海上自衛官の溺愛~
 夏希に航平のことを直接伝えるのは初めてだったのもあり、結芽はもじもじと小声がちになってしまう。

「ちょっと照れんなよ、こっちまで恥ずかしくなるじゃん! でもよかった。いいヤツそうじゃん。鳴海航平」
「いい人だよ。私じゃもったいないくらい。防大卒のエリートだし、高卒のただの医療事務の私が相手でいいのかなって思っちゃうんだよね。私じゃ釣り合わないよ」

 結芽はそう零すと、ジョッキをぎゅっと両手で握って俯く。

「いいじゃん、相手が結芽がいいってことで付き合っているんでしょ? 30手前でそうならもう結婚しかないでしょうが! それに結婚前提で付き合うって話だったんだし」
「それはそうだけどさ……私に幸せな未来ってあるのかなって。どうなるのか想像もつかなくて」
「まぁ……あんたも苦労してきたしね……」

 結芽は自身の心に問いかける。

「結婚できそうならしちゃった方がいいと思うけどね~。ここ逃したら難しいでしょうし? 結婚は勢いも大事!」
「……ふふ、そうだね」

 夏希の明るさに、結芽はこれまで幾度助けられたか。
 結芽にとって夏希はかけがえのない友人であることを再確認させてくれる。夏希の言葉は結芽の背中をそっと押してくれるのだ。
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