俺が貴女を護ります~エリート海上自衛官の溺愛~
「そんな、私いつもいつも貰ってばかり……私は何も航平くんに返せていないのに」

 結芽は航平の腕を引っ張ってショップに入るのを拒む。
 すると航平は結芽の手を握って人があまりいない店と店の間に連れて行く。

「結芽。俺は結芽と出会うまでは仕事しか生きがいもなかった。きっかけは子どもの頃の些細なことだったけど、君と再会して恋人になって、君を知っていくと、どんどん好きになってしまう。おかしくなってしまいそうなくらい君が愛おしいんだ。なのに、どうすれば君が俺から離れないのかわからない……だから俺は……俺の今できる最大の手段で君に愛を証明しているんだ」

 人通りの少ない店と店との間のスペースで、航平がそう言うと結芽の両手を掬うように握って離そうとしない。

「わ、私だって……私だって航平くんのことが好き。だから、私も航平くんのために何かしたいって思って」
「そうか。なら、俺から離れないでくれ。そして、お願いだから君の悩みを共有してほしい。できるだけ解決できるようにしたい……それに結芽はどこか突然消えてしまいそうな儚さがあって、どうしようもなく不安になる。だからどうか、俺の愛を受け止めて傍にいてほしい」

 航平の真剣な眼差しは、もともとの凛々しい顔立ちをさらに引き立たせる。

「こ、こんなところでそんなことっ」
「じゃあ、今夜ベッドの上で言えば決まったのか?」
「……っ!」

 ただでさえ外出先でそのような愛の告白をされてしまい恥ずかしさで消えてしまいたいというのに、さらに追い打ちをかけるかのように航平が耳元で囁く言葉に、ぶわっと身体の中心から一気に体温が上昇していくのがわかった。
ぞくりとして、鳥肌が立ち、身体の奥底で何かがきゅんと締めつける。

「さて、ネックレスを選ぼうか」

 航平が一歩ほど先に歩きだして振り向くと、手を差し出してきた。結芽は微笑んでその手をとった。
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