俺が貴女を護ります~エリート海上自衛官の溺愛~
「チェンジでーす!」
「ありがとうございました。マッチングできるといいなって思います。では」
「はい、ありがとうございました」
結芽は牧野に小さくお辞儀をして、別れた。
司会の合図で5分程度の時間はあっという間に過ぎていき、次の曲が流れた。
「次、いいですか?」
「は、はい……!」
嬉しいことに次々とダンスに誘われる。結芽は声をかけてくれた相手に一瞬で心を惹かれた。
短髪でかっちりとした硬派な印象を与える髪型と、スーツ越しでもわかる胸板の厚さ。
身長は自身よりも15センチ以上は高そうで、先程の細く可愛いイケメンな印象の牧野とは正反対の雰囲気だ。
(や、やばいっ、やっぱりタイプかもしれない)
結芽は目の前の相手の顔はわからないが、自己紹介タイムでもフリートークでも気になっていた10番の彼。
たしか職業は海上自衛官。納得の体格である。
気になっていた彼と踊れることが純粋に嬉しかった。
「今野結芽です。あの、自己紹介の時から気になっていて」
「鳴海航平です。それは嬉しいですね」
声が低く、多くは語らない堅物な印象もあったが、話していると自分の話は必要最低限にとどめ、聞き役としてうまく話を振ってくれていた。
航平とのダンスはあっという間に終わってしまい、時間が巻き戻ってほしいとすら思った。マッチングできるように願いながら、その後のダンスもこなした。
「ダンスタイムは終了です! それではマッチングタイムに移ります。皆さまマッチング希望の方の番号、もしくはお名前をお渡しした用紙に記入してください。スタッフが回収ボックスを持って回収に参りますのでお楽しみにお待ちください!」
司会に促されてマッチング希望を書いた。もちろん、『10番 鳴海航平』ただひとりだ。今回の婚活パーティーが婚活に初参加であったが、こんなにも好みの相手に会えるだなんて思っていなかった。
もう少し話して、彼のことを知ることができれば──
そう望んでドキドキと期待に胸を膨らませてマッチング結果の発表を待っていた。