俺が貴女を護ります~エリート海上自衛官の溺愛~
「なんだか、航平くんにそう言われ続けていたら、本当に自分が可愛く思えてきちゃうんだよね。なんてね」

 食前酒のシャンパンを少しだけ飲んでから結芽は笑いながらわざとらしく言うが、航平はにこやかに微笑んで結芽を見つめ、頬杖をつく。

「いくら俺が結芽に可愛いと言っても最初は疑うような顔をしていたのに。随分と俺の言葉をすんなり受け入れてくれるようになったようで良かった。そうだよ、結芽は可愛い」
「ふふふ」
「つぎは君の左薬指に指輪だろうか。どんなものかは楽しみにしていてくれ」
「ちょっ……う、うぅ」

 結芽は昼間にリングサイズを試しに測っていたのを航平も隣で見ていたことを想い出し、急に恥ずかしくなる。

 夢のような甘い時間。
 ジュエリーショップでのネックレス選びの段階からムードは作られ始めていた。隣にいるだけで幸せになり、ネックレスを購入して別の店を見ている時に指が触れると自然と手を繋ぎ、離さなかった。

 指の太さも皮の厚さも何もかもが真逆。それぞれの手の感覚の違いに思わず手が触れてしまったその後のことも脳内で想像してしまうくらいには、ふたりの間の空気感はいつもとは違っていた。

「お待たせいたしました──」

 コース料理の前菜が届き、ゆっくりと食べて、ワインも楽しみながらまた会話の続きを始める。
< 30 / 50 >

この作品をシェア

pagetop