俺が貴女を護ります~エリート海上自衛官の溺愛~
「私、ずっと言っていなかったことがあるの」
「うん」
「片親なんだ、私」
「そうか」
「でも、母は私を娘として愛したこともないし、母親らしいことをされたこともない。とんでもない暴言を吐いてくるし。それに今も、こうして航平くんとうまくいっていることを許さないというか。私が幸せになることを許したくないみたい」
「……だが、最終的に自分の人生を決めるのは自分じゃないのか」
「そう……」
「それに、今の結芽には俺がいる。何があったとしても傍にいるし、必ず護る」

 前菜で使われている野菜の鮮やかさが、今日ジュエリーショップで見た宝石を思い出させる。

「私もずっとあの人から離れたいと思っていたの。でも、自分だけの給料じゃ新しいアパート借りるにもきついし、それも無理で……諦めちゃったんだ。あの人に言われ続けたことがずっと呪いみたいに私を縛り付けていたの。私が幸せになれるわけがない。結婚なんてもってのほかだって」

 航平は結芽の言葉を受け止めて真剣な表情で見つめる。

「それで、結芽はどうしたい?」
「えっ」
「結芽は俺とこの先、どうなりたい? 俺は、できるなら結芽と結婚したいと思っている」
「それは私だって……でも、幸せって何かわからない。航平くんには私よりももっといい女の人だっているし、そういう人と結ばれた方が理想の家庭を築けるんじゃないかって。私があなたの幸せを潰してしまうんじゃないかって思うと……こわくて」

 結芽は俯いてしまう。
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