俺が貴女を護ります~エリート海上自衛官の溺愛~
「とやかく言うつもりはなかったんだけどさ。鳴海さんは結芽でいいの? 結芽だけがあなたにゾッコンみたいなのだったら認められない。正直、うちの娘は高卒の事務職で、あなたと釣り合う要素はないわけよ。婚活パーティーで出会ったのは聞いているけれど、鳴海さんは結芽でいいのかって話よ」

 母は真剣な表情で航平に問う。それは今まで見せたことのない、『母親』の顔にも見えた。これまで結芽を散々酷く罵っていたというのに、結婚するとなると心境が変わるのだろうか。

「自分は結芽さんが初恋だったんです。小学校で転校して離れてしまいましたが、それからもずっと心の中に結芽さんがいて、忘れられませんでした。自分はいつか結芽さんと再会できることを夢見て、自衛官になりました。それは結芽さんを護れる男になりたかったからです。自分が、結芽さんを幸せにします」

「へぇ……そうだったんですね。結芽、あんたって運がいいね。こんな一途な人に見初められてたなんて。でも海自ってことは転勤あるでしょ? 結芽はそれでいいの?」

 母は何度も質問してくる。これまでの母から考えると、幸せになるのを許せず結婚をなんとか引き留めようとしているようにも思えるし、母として純粋に娘の不幸になる未来がないように確認をしているようにも思える。

「もう決めたことだし覚悟はできている。場合によっては単身赴任してもらうかもしれないけど。ひとりで生活するのは辛いこともあるかもしれない。それでも、私は航平くんと結婚がしたいから」

 結芽は強くなった。母に向かって真っすぐと意思表示できるようになっていた。
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