俺が貴女を護ります~エリート海上自衛官の溺愛~

2話 それなら俺でいいじゃないか

 カフェの内装はレトロなテーブルやイスで統一されておりノスタルジックな佇まいであり、店内BGMではジャズ音楽が流れ、照明の照度が落とされており落ち着いた雰囲気である。
 席も全体の7割程度は埋まっていて、それぞれが談笑しており賑わっていた。

「私ももう29だし、周りも結婚したり子ども産んだりしてそろそろ急がないとなぁって思って夏希を誘って参加してみたのよ」
「それであそこにいたと」
「うん。でも、それを言ったらその……航平くんだって」

 鳴海さん、と苗字で呼ぶには少し距離が遠すぎるし、かといってかつてのように名前を呼び捨てにするのも違う気がして、呼び方に戸惑ったが、名前にくんを付けることに落ち着いた。

「俺は同期に勧められただけだ。ほぼ強制的というか。まあ、参加登録されてしまった後だし休日だったし、仕方なく行ってみることにしたんだ。だが、結果的に偶然とはいえ結芽に再会できて良かった」
「そ、そう」

 航平の切れ長の瞼から覗く漆黒の瞳が真っ直ぐ結芽を射抜く。
 もし、叶うのであれば航平ともう少しだけ仲良くなりたい。今まで関わってきた異性の中で最も、「びびっと来る」何かがあったのだ。

成人式の後に同窓会はあったが、小学校で転校してしまった航平はもちろん成人式すら違う地域で参加しているだろうから、再会できたことが奇跡に近い。
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