俺が貴女を護ります~エリート海上自衛官の溺愛~
──5年後

「いってらっしゃい! おとうさーん!」
「行ってきます」
「気をつけて」
「うん」 

 航平は娘の海夏を抱えてぎゅっとハグをすると、海夏は嬉しそうにする。
 結芽と海夏が手を振って航平を見送った。

 結芽と航平が31歳の年、ふたりには子どもが生まれていた。その子は女の子で、名前を海にちなんだ名前が良いと思い、海夏《うみか》と名付けた。
 海夏は現在4歳。初の子育てに奮闘しながらも、航平が家を空けている間は、主に自衛官の夫をもつママ友や幼稚園のママ友と交流しながらなんとか魔の2歳児の時期を乗り越え、一旦イヤイヤ期や反抗期も落ち着き、安心していた頃である。

 呉への転勤後の航平は多忙であった。そのような30代前半を家族一丸で乗り越え、最短の出世スピードといわれる33歳で階級は3佐となり、今は2佐への昇任も控えているような状態である。
 異動に関しては、子どもが生まれたばかりということもあり、考慮してもらったという。海夏も大きくなってきたし、そろそろ異動だろうと航平は結芽に話していた。
 結芽は子育てと仕事を両立させながら、家事もこなしていて、大変な日々ではあるが毎日が充実しており順風満帆だ。

「今日は金曜日だから夜はカレーだよ~!」
「わーい!」
「じゃあ、海夏も幼稚園行くよ」
「はーい!」

 にこにこと向日葵のような笑顔の海夏の頭を撫でて微笑む結芽は、これ以上ない幸せをくれた航平を想いながら海夏を幼稚園に送った。



《終》
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