契約シンデレラ
「では、行ってきます」
お昼になり社長室を出て行こうとする晶が、なぜか楽しそうに見えるのは俺の心の狭さだろうか。
今の俺には「行くなよ」なんて止める資格はないのだと思いながらも、本音を言えば行かせたくはない。
知り合って言葉を交わすようになって2ヶ月。一緒に住むようになってまだ半月ほどだが、晶が側にいる暮らしに俺はすっかり慣らされてしまっている。
だからかな、俺以外の人間が晶の側にいることが気に入らない。
「なるべく早く戻りますので」
「ああ、そうしてくれ」
父の時代からお世話になった前任の産業医から「大学の後輩でとても優秀な医者だから」と推薦されて勤務してもらうようになり5年ほどが経つ海田先生。
確か年齢は俺や幹人と同じくらいで、その人当たりの良さと温厚な性格から父をはじめとする上層部の受けも悪くはない。
だからこそ余計に心配なんだ。
「社長、昼食が届いておりますが?」
「ああ、ありがとう」
晶がいないからか、幹人が注文していた松花堂弁当を運んできた。
食べなれたはずの松花堂弁当が嫌いなわけではないが、今はあまり食欲がないな。
お昼になり社長室を出て行こうとする晶が、なぜか楽しそうに見えるのは俺の心の狭さだろうか。
今の俺には「行くなよ」なんて止める資格はないのだと思いながらも、本音を言えば行かせたくはない。
知り合って言葉を交わすようになって2ヶ月。一緒に住むようになってまだ半月ほどだが、晶が側にいる暮らしに俺はすっかり慣らされてしまっている。
だからかな、俺以外の人間が晶の側にいることが気に入らない。
「なるべく早く戻りますので」
「ああ、そうしてくれ」
父の時代からお世話になった前任の産業医から「大学の後輩でとても優秀な医者だから」と推薦されて勤務してもらうようになり5年ほどが経つ海田先生。
確か年齢は俺や幹人と同じくらいで、その人当たりの良さと温厚な性格から父をはじめとする上層部の受けも悪くはない。
だからこそ余計に心配なんだ。
「社長、昼食が届いておりますが?」
「ああ、ありがとう」
晶がいないからか、幹人が注文していた松花堂弁当を運んできた。
食べなれたはずの松花堂弁当が嫌いなわけではないが、今はあまり食欲がないな。