契約シンデレラ
Side　晶

「晶」

会社の一階にあるカフェに入ると、すでに席に着いていた真也さんが手を振った。

「すみません、お待たせしました」
「いや、俺も今来たところだよ」

優しい笑顔を向けてくれる真也さんに普段と変わったところは見られない。
ただ、心中に含みがあるのだとわかっている私には、素直に笑顔を返すことはできなかった。

「昨日は、彼のマンションへ帰ったのか？」

ランチの注文をしてすぐ、いきなり投げられた直球。
真也さんの視線は真っすぐに私を見ていて、誤魔化しは効きそうにもない。

「同棲しているのか？」

一応質問の形はとっているものの、「まさかそんなはずはないよな」の心の声が聞こえて気がするのは私の考え過ぎだろうか。

「一体、どういうことだ？」

今日のランチに誘われた時点で、説明を求められるのだろうと予想していた。
小さいころから妹のように気にかけてもらっている私としては嘘をつくこともできず、だからと言って真実を告げることもできない。
さあ困ったぞ。
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