契約シンデレラ
「このまま彼のマンションに住むつもりなのか?」

事情は理解したものの、やはり真也さんは渋い表情。
やはりこのままではいけないからと、アパートを借りることをすすめられた。

「もちろん私もお金が溜まったらアパートを借りようと考えているけれど、今はまだその余裕がないの」
「金なら俺が貸そうか?」
「それはダメ」

放浪癖があり世界各国で借金を作ってくる父を見ているからか、借金だけはしないと心に決めている。
だから、たとえ真也さんにでもお金を借りるつもりは無い。

「晶、お前は彼の側にいるってことの意味をちゃんと理解しているのか?」
「ええ、もちろん」

龍ヶ崎建設の社長であり若き経済界のプリンスなんて言われている圭史さんは、世間からの注目度も高い。
私たちのような一般人とは違い周囲から見られることも多いはずだし、一緒にいれば当然私も世間の目にさらされることになる。
もちろんそのことは、私だって覚悟の上だ。

「本当にいいんだな?」
「はい」
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