契約シンデレラ
結局、圭史さんに押し切られる形になった。
お父様とお母様には「急用で、すみません」と断りを入れたけれど、やはりあきれ顔だった。
それに、

「ちょっと待って」

ホテルのロビーまで来たところで咲奈さんが追いかけてきて、私と圭史さんお前に回り込んだ。

「ねえ晶さん、おじさまもおばさまも忙しい時間を割いて来てくださったのに、ひどいと思わないの?」
「それは・・・」

失礼な行動なのは私も承知している。
でも、私にだって事情はある。

「咲奈、悪いが急いでいるんだ、どいてくれ」

圭史さんが私の手を握り、咲奈さんを避けるように前へと進む。

「圭史さんっ」

後方から叫ぶような咲奈さんの声が聞こえた。
間違いなく咲奈さんは怒っているのだとわかったけれど、私は振り返ることができなかった。
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