契約シンデレラ
今回かかった費用も返そうとは思うけれど、今の私はまだ余裕がなく圭史さんの厚意に甘えるしかない。
普段から計画性がなくギリギリの生活を送っている父に文句ばかり言っているくせに、結局私も住む所も貯金もないその日暮らしの人間なのだ。

「やっぱり、親子なのかしら」

帰京の準備をしながら、つい愚痴がこぼれてしまった。
最近の私は、少しだけ圭史さんとの生活に慣れが出てきていたのかもしれない。
本当なら知り合うこともなかったはずの圭史さんの側で暮らすようになって、一緒にいることを当たり前のように感じていた。
彼がどれだけすごい人なのかを、忘れていた。

ブブブ。
帰京の準備をしている最中に鳴ったスマホ。

ん？
その発信元を見てまず首を傾げた。
そして、通話ボタンを押してみたのだが・・・

『もしもし、晶？』

電話の向こうから聞こえる少し焦ったような声。

「どうかしました？」

電話の相手は真也さんだった。
もちろんお互いに連絡先は知ってはいるが、何かなければかけてくる人ではない。
言い知れぬ不安に襲われながら、私は真也さんの次の言葉を待つことしかできなかった。

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