契約シンデレラ
「じゃあ、私はそろそろ行きますね」
「行くってどこに？」

しばらく話をした後会社へ向かおうと席を立った私を、真也さんが不思議そうに見ている。

「え、会社ですよ」

朝一番の新幹線で東京に着いてすぐに真也さんの話を聞き、時刻はすでに９時半を回った。
完全に遅刻の時間ではあるけれど、このままここにい続けることもできない。

「本当に出社するつもりか？」
「ええ、休む理由がありませんから」

一通り話をしたうえで、今日は会社を休んだ方がいいだろうと真也さんが助言してくれた。
今はまだ調査中で、周囲には私を疑っているもいる。そんな中で出社すれば嫌な思いをすることだってあるかもしれないと、真也さんなりに心配してくれたのだ。
でも、何も悪いことをしていないのにコソコソするのはおかしいと思う。
逃げ出すようなことはしたくないし、今は堂々といつも通りにしている方がいいだろうと私は考えた。
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