契約シンデレラ
「大体あなたが側にいることで、圭史さんにとって有益なことは何もないじゃない」

強い言葉と共に詰め寄ってくる咲奈さんには鬼気迫るものがあって、私はその勢いに飲まれてしまった。

「あなた圭史さんのために何ができるの?」
「それは・・・」

確かに私は何の役にも立たない。
それどころかかえって圭史さんの負担を増やし、足を引っ張ている気さえする。
きっと咲奈さんの方が、圭史さんの役に立つのだろう。
ご両親はじめ大方の人たちは咲奈さんと圭史さんが一緒になることを望んでいるはずだ。

「いつまでマンションに住みついて、圭史さんに頼る生活を送るつもり?」

うっ。
それを言われると私には返す言葉がない。

「まるで寄生虫ね」
「・・・」

出来ることなら言い返したいけれど、客観的に見てかなりの事実も含まれている以上黙るしかなかった。
居心地の良さに甘えて同居を続けているけれど、いい加減けじめを付ける時期かもしれない。
咲奈さんの言葉を聞いて、私は決心ができた気がした。

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