契約シンデレラ

ヒロインへの逆風

結局定時まで働いた私は圭史さんのマンションに帰ることなく理央のアパートに向かった。
都合のいいときにだけ転がり込んで申し訳ないなとは思いながらも今の私にはほかに頼れる人はいないし、幸いなことに外出で遅くなった圭史さんは直帰となり退社するまで顔を合わせることもなかった。

「ごめんね、理央」
「私はいいのよ」

なぜか楽しそうに私を見る理央。
一方私は大阪からの移動と、個人情報漏洩事件の勃発と、咲奈さんの登場に疲れ果ててしまった。
鞄を放り出し、部屋の隅に置いてあったソファーに倒れ込むと、一瞬にして睡魔に襲われた。
途中、何度か理央に肩を叩かれた記憶はある。
スマホが鳴っていると声もかけられた気がする。
それでも私は起き上ることもせずに眠っていた。
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