契約シンデレラ
「さあここだ」

車を走らせて着いたのは世界的にも有名な超高級ホテル。
私の勤めていたホテルも大きくて立派だったけれど、ここは街の中心部にあり豪華な建物にラグジュアリーな内装だ。

「Welcome back Mr. ryuugasakiおかえりなさいませ龍ヶ崎様」
乗ってきた車がホテルの着くと、すぐにスタッフが現れてドアを開けてくれた。

フロントに寄ることもなくキラキラと大きなシャンデリアが煌めくロビーを抜け、スタッフによって扉を開けて待たれていたエレベーターに乗り込んでから私は口を開いた。

「あなた、何者ですか?」

勤めていたホテルでも、国家元首や王族などのVIPが訪れた時にはマネージャーが付きっ切りで案内することがあった。
もちろんくつろぎを求めるリゾート型のホテルと機能性やハイクオリティーなサービスを求められるシティーホテルでは多少の違いがあるのかもしれないけれど、男性がVIPであることは間違いないと思う。

「日本人ビジネスマンだよ」
「ただのビジネスマンではないでしょ?」

私が聞きたいのはその素性。どう見ても只者とは思えないもの。

「それを聞いてどうする?金も無心でもする気か?」
「そんな・・・」

なぜだろう、私は急に答えられなくなった。
それはきっと男性の顔に憂いが感じられ、「どうせお前も俺にたかる奴らと一緒なのか?」という心の声が聞こえた気がしたからだ。
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