契約シンデレラ
私はいつも通りの時間に出勤した。
幸いなことにというか、今日の圭史さんは関東近隣の支社を回る予定になっていて、本社への出社予定はない。
一日伸ばしたからと言って現状が変わる訳ではないと思いながらも、少し気楽に出社できた。
昨日マンションへ帰らなかったこともあり、圭史さんはきっと怒っているだろう。
仕事中のため電話に出ることはできないが、着信は変わらず続いている。
それでも、今日一日考える時間がもらえるのは私にとってはうれしいこと。
そして、こんな日こそ集中して溜まった仕事を片付けようとデスクに向かった時、
ブブブ ブブブ
突然で内線が鳴った。

朝の9時前の時間にかかってくる電話は普段から多くないが、鳴った以上は出るしかない。
私は訝しみながら電話とった。

「社長秘書室星野です」

この時、嫌な予感はしていた。
子供のことからの経験上、良くないことに限って続けて起こるものだと思っている。
そして、電話は本当にトラブルを知らせるものだった。
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