契約シンデレラ
スマホの電源さえ落としてしまえば、圭史さんのいない一日はとても仕事がはかどる。
突然の仕事を受けることもコーヒーやお茶の用意をすることもなく手持ちの仕事に専念できるし、掛かってくる電話もいつもより断然少ない。
もちろん個人的な寂しさは感じながらも、私は着々と仕事をこなしていた。

「そろそろお昼ね」

時刻はちょうど12時で、私もそろそろおなかが空いてきた。
今日は理央のアパートに泊めてもらったからお弁当を作ることはできず、コンビニで買うかどこかで食べるしかないのだが・・・

「たまには社食にしようかな」

龍ヶ崎建設の社員食堂はメニューも豊富でリーズナブルだと社員の間でも人気がある。
私も何度か行ったことがあり、気に入っている。
人気の日替わりランチは早めに行かないとすぐになくなるのだが、この時間なら大丈夫だろう。
私は財布を持って立ちあがった。
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