契約シンデレラ
「なあ晶」
「はい」

突然名前を呼ばれて顔を上げると、圭史さん近づいてきた。
そして、

ギュッ。
えっ。

躊躇うこともなく抱き締まられて、視界が圭史さんの影に覆われた。
スーツ越しに伝わる圭史さんの温もりで、私の全身から力が抜けていく。

「もう帰ってこないかと思ったぞ」
「圭史さん・・・」

もっと叱られると思っていた。
何を考えているんだと怒鳴られるかもしれないと想像していた。
でも、圭史さんは優しく抱きしめてくれる。

「ごめんなさい」

込み上げる涙をこらえながら、私も圭史さんの背中に手を回した。
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