契約シンデレラ
「迷うくらいなら、一度全部手放してみなさいよ。そうすれば自分にとって必要な物が見えてくるわ」

手放すねえ、確かにいい方法ではあると思う。
でももしそのせいで何かを失うことになったらと思うと・・・

「それで自分の元から消えていくものがあるなら、それも運命でしょ」
「でも・・・」
「うじうじしないの。じっとしていても事態は好転しないわ」
「理央・・・あなたは凄いわね」

さすがに理央のような強さは私にはない。
それでも、少しだけ頭の整理できてきた気がする。
まずは明日の土曜日に圭史さんのマンションに行って、荷物を引き上げよう。
その上で、仕事の整理をしよう。
今すぐに仕事を辞めるのは無責任だと思うけれど、きちんと引継ぎをして退職しよう。
やはりその方が、圭史さんのためにも一番いい気がする。

「決心できたみたいね」
「うん」

明日の土曜日、圭史さんは仕事の打ち合わせが入っていたはずだから不在のはず。
留守を狙うようで申し訳ないけれど、早めにおじゃまして荷物を片付けてしまおうと私は計画を立てた。
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