契約シンデレラ

逃げ出すはずが・・・

土曜日の朝、私は圭史さんのマンションに向かった。
まだ預かったままになっているスペアキーを使いすんなりと部屋に入ることもでき、とりあえずキッチンへ行ってみる。
しかし・・・

「どうしたんだろう?」

テーブルに置かれたままになっているコンビニの袋と、シンクに残ったままのカップやグラス。
ゴミ袋には空になったお弁当の容器までが見える。
これは、きれい好きない圭史さんにしては珍しいことだ。

「たった2日間いないだけでこんなに散らかるなんて、先が思いやられるわね」

愚痴ってはみたものの、私が来るまでは週2で家事代行サービスが入っていたって言うから、すぐ元の生活リズムに戻るのだろう。
そう思うと少し寂しくもあり、安堵する気持ちもあり、複雑な心境だ。

「文句を言うくらいなら、出て行かなければいいだろ?」

誰もいないだろうと思っていたのに背後から声をかけられ、私は息が止まりそうになった。
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