契約シンデレラ
突然現れた圭史さんに、とりあえず話をしようと言われリビングへ入った。

「そんなにここに住むのが嫌なのか？」
「いや、そうでは・・・」
「じゃあ、ここにいろ」

吐き捨てるように言い切った圭史さんは、ソファーに座ったまま私を見ている。
一方私はリビングの隅に立ち尽くす。

スケジュール通りなら今日は朝から取引先との約束が入っていたはずの圭史さんは、視察や会食の後帰宅は午後になるはずだった。
スケジュールを組んだ私が言うのだから、間違いはない。

「何でいるんですか？」
「いちゃ悪いか？自分の家だぞ」
「そういう意味ではなくて・・・」

困ったな、かなり不機嫌そうだ。
そう言えば、リビングのテーブルの上には大量の書類が広げられているし、いつも圭史さんが持ち歩いているタブレットやパソコンも起動した状態。
それに着ている服も部屋着で、その表情からはかなりの疲労感がうかがえる。

「もしかして、徹夜したんですか？」

部屋の様子や表情から想像するとそんな結論になった。

「気が付いたら朝だった」
照れくさそうに下を向く圭史さん。

「ダメじゃないですか。体を壊したらどうするんですか」
「お前に言われたくない」

やはり、今日の圭史さんはご機嫌が悪い。
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