契約シンデレラ
会食の席で自分の苦手なものが出てきても、圭史さんは平気な顔をして食べるだろうし、直箸で同じお鍋突つくことになっても素知らぬ顔をしていることだろ。
どれだけ自分が苦手なものでも人前では微塵も見せない。それが圭史さんだ。
「外では絶対に顔にださないでしょうけれど、家ではうるさいんですよ。キュウリも好きじゃないからどんなに小さく切ってもつまみ出してしまうし、柔軟剤を変えただけで手触りが違うってすぐに気が付いてしまうんだから」
家事をする人間にとっての圭史さんは、正直めんどくさい人だと思う。
だからと言って不満を感じることはない。
美味しいものを出せばちゃんと「おいしいね」と言ってくれるし、掃除や洗濯などの家事に対しては「いつもありがとう」と労ってくれる。
そういう気づかいをきちんと言葉にしてくれる圭史さんが私は大好きだ。
「なんだか別人の話をしているみたいね」
幾分声のトーンが落ちてしまった咲奈さん。
「そうでしょうか?」
私からすると、どちらも同じ圭史さんの一部。
違和感を覚えることもないが、咲奈さんには違うらしい。
そんなことを考えていた時、
「おい、本人のいないところで陰口を言うんじゃない」
いきなりリビングのドアが開き、圭史さんが現れた。
どれだけ自分が苦手なものでも人前では微塵も見せない。それが圭史さんだ。
「外では絶対に顔にださないでしょうけれど、家ではうるさいんですよ。キュウリも好きじゃないからどんなに小さく切ってもつまみ出してしまうし、柔軟剤を変えただけで手触りが違うってすぐに気が付いてしまうんだから」
家事をする人間にとっての圭史さんは、正直めんどくさい人だと思う。
だからと言って不満を感じることはない。
美味しいものを出せばちゃんと「おいしいね」と言ってくれるし、掃除や洗濯などの家事に対しては「いつもありがとう」と労ってくれる。
そういう気づかいをきちんと言葉にしてくれる圭史さんが私は大好きだ。
「なんだか別人の話をしているみたいね」
幾分声のトーンが落ちてしまった咲奈さん。
「そうでしょうか?」
私からすると、どちらも同じ圭史さんの一部。
違和感を覚えることもないが、咲奈さんには違うらしい。
そんなことを考えていた時、
「おい、本人のいないところで陰口を言うんじゃない」
いきなりリビングのドアが開き、圭史さんが現れた。