契約シンデレラ

さらなる逆風

咲奈さんと出て行ったまま、その日も翌日の日曜日も圭史さんがマンションに戻ってくることはなかった。
日曜の夕方になって、『明日は直接出勤する』とだけのメッセージが届き不安は募ったけれど、何も聞くことができなかった。
ただ、月曜日に会社に行けば圭史さんに会えるから、その時に話を聞けばいいと簡単に考えていた。

「おはよう」
「おはようございます」

月曜日の朝9時を回り心配しながら待っていた私の前に圭史さんが現れた。
その顔には疲労の色が浮かび、声をかけることもはばかられる状態。
顔を見たら何があったのかを聞こうと思っていた私も、すぐには言葉が出てこなかった。

「昨日も一昨日も帰ることができなかった。待っていろなんて言ったのに、すまない」
「そんな・・・私は大丈夫ですから」

自分からマンションを出るだの別れるだのと言ったくせに、憔悴した圭史さんを見たらすっかり忘れてしまっていた。

「晶、悪いが少しだけ肩を貸してくれるか？」
「え、ええ」

肩を貸すって意味が分からず返事をしたけれど、数秒後目の前まで来た圭史さんに抱きしめられた。
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