契約シンデレラ
VIPとの面会や現企業の視察、その他面会が次々に入り圭史さんのスケジュールは分刻みだった。
ただ同行するだけの私でさえ大変だと感じたくらいだから、圭史さんや森山さんの忙しさは半端ではなかったと思う。
そのせいかどうかはわからないが、早めに一日のスケジュールを終えた私たちは夕方になる前にホテルへと戻った。
そして、ロビーまで一緒だった森山さんは「ではまた明日参ります」と頭を下げると帰って行った。

「今日のスケジュールはここまでだが、晶はこの後どうする?」
「え?」
どうするの意味が分からず、首を傾げた。

「どこか出かけたいならそれでもいいし、もし予定がないのなら買い物に付き合ってほしいんだが?」
「買い物ですか?」
「ああ」

残念ながら今の私にはやりたいこともない。
このままホテルに残されても時間を持て余すだけの私は、「お供いたします」と返事をした。
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