契約シンデレラ
電話は海田先生からで、晶が咲奈に呼び出されたらしいとの知らせ。
咲奈からの連絡があった時一緒にいた妹さんから店の名前までは聞き出したが、自分は当直で抜けられないらしい。

「どうしますか?」
と聞かれたが、俺には何故か迷いがなかった。

「場所を教えてください。迎えに行きます」

教えられたのは、俺も何度か行ったことのある都内のクラブ。
派手で賑やかで、どちらかと言うとナンパ目的の男女が多い、晶には似合わない場所だ。
そこへどんな目的で行ったのかわからないが、わけのわからない男に捕まる前に助け出してやるほうがいいだろう。
俺は帰ってきた格好のまま部屋を飛び出した。

俺が迎えに行ったことで晶が喜んでくれるかどうかはわからない。
ただ、多少抵抗されたからといって、すんなり引き下がる気持ちもない。
それに海田先生から、今日咲奈が現れて晶に余計なことを吹き込んだようだと聞かされた。
とにかく晶を迎えに行って、この部屋に連れて帰ろう。
話はそれからだ。
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