契約シンデレラ
「顔が赤いぞ、だいぶ飲んだのか?」
「いいえ・・・そんなには」

こんな場所にスーツ姿の俺が現れれば周囲から浮くのはわかったことだし、当然好奇の視線が益々強くなる。
それを感じ取ったのだろうか、晶の顔は耳まで真っ赤になっていく。

「帰るぞ」

強い言葉を発したつもりはない。
怒っているつもりもない。
ただ、俺は晶を取り返しに来たと主張した。

「悪いが、連れて帰るよ」

唖然とする男たちに一言だけ声をかける。
俺に腕を引かれた晶は、抵抗することもなく立ち上がった。

「圭史さん、待って」

晶を押しのけるように、咲奈が俺に詰め寄ってきた。

「晶さんはもう圭史さんと一緒に暮らすつもりは無いそうよ。圭史さんとは別れるって、私は晶さんの口からはっきりと聞いたわ。それに今回の件だって、うちの父がどれだけ」
「咲奈、それはここで話すことではないだろう」
酒の勢いもあったのだろうか一気に話す咲奈を、俺は遮った。
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