契約シンデレラ
その後、圭史さんがやって来たのはホテル内にあるブランドショップ。
普段の私なら絶対に足を踏み入れないような高級感漂う店内に、当たり前のように入って行く圭史さんに私も続く。
店に入るとすぐに、オーナーらしき女性が現れた。

「いらっしゃいませ、龍ヶ崎様」
「こんにちは」

圭史さんも女性を知っているようで、笑顔で挨拶を交わす。
凄いな、私にとっては身の置き場のないような空間に、圭史さんは一瞬で馴染んでいる。

「明日パーティーの予定があるので、そのための支度をお願いします」
「はい、かしこまりました」

チラッと私を見た圭史さんに続き女性も私を見る。
確かに明日の午後にパーティーがあり、同行するようにと言われていた。
もちろんどんなパーティーかまでは聞かされていないけれど・・・

「では参りましょう」

どうやら私のための物を買いに来たのだと気が付いたけれど私にはどうすることもできず、待合用に用意されたソファーに圭史さんを残したまま、私は女性に案内されて奥へと進んでいくしかない。

「何かお好みのスタイルはありますか?」
「いえ別に・・・」

今までパーティーなんて出たこともない私に好みを聞かれたところで困ってしまう。
何とも返事のしようがなくて困っている私の反応を見た女性は、「ではこちらで何点かご用意しますね」とずらりと並んだドレスの中からチョイスし始めた。
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