契約シンデレラ

捕獲されtました

深夜とはいえ、都会の街から明かりが消えることはない。
もちろんそれだけ賑やかな都心に住んでいるってことではあるんだが、やっぱり夜は真っ暗な方が落ち着くな。
一人そんなことを考えながら車の窓越しに外を見ているのは、運転席の圭史さんの方を振り向く勇気がないから。
だって、今の彼は相当に怒っている。
まあ、それにはそれだけの理由があるのだけれど・・・

ちょうど1週間ほど前にお互いの気持ちを告白し、私達は共に生きていこうと誓った。
しかし、その後のトラブルや咲奈さんの言葉に追い詰められてしまった私は再び逃げ出す決心をしてしまった。
逃げ出すことで解決をしようとするやり方が褒められた選択出ないのはわかっているが、私なりに圭史さんのことを思っての決断だった。
ただし、私には相手気持ちを思いやることが足りなかったのかもしれない。

「何であんな店に行くんだよ」
「それは・・・」

真っすぐに前を見たまま振り向きもせずに話す圭史さんのぶっきらぼうな言葉に、私はまともな返事もできない。
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