契約シンデレラ
今まで、バイトや学校が忙しくて恋人ができたこともなかった。
初恋は真也さんだったし、告白したこともされたこともない。
だから当然キスもその先も初めて。
もちろんそんなことを話したわけではないけれど、その夜の圭史さんはとても優しくて大切に抱いてくれた。
初めての不安は温もりに包み込まれ、恥ずかしさは快楽に代わっていった。

「あっ、ああ」

漏れ出る声にならない声と、部屋中に充満する甘美な香り。
私も圭史さんも時間を忘れて求めあった。

「晶、声を聞かせて」
それでも恥じらう私の耳元で聞こえる、圭史さんの囁き。
体を突き上げる衝撃とともに、私の体に電流が走る。

「晶、愛してる」
「私も圭史さんを愛しています」

この瞬間、私は自分から圭史さんの背中に手を回してギュッと抱きしめた。
< 204 / 218 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop